涙、滴り落ちるまで〜宝石の悲劇と再生〜

ライラ様が呪文を唱える。宝石に光の粒が集まった。やがてそれは人の形へと変わっていく。その人は泣いていた。

『痛かったよ。怖かったよ』

『ずっと苦しかったの』

『ありがとう』

光の粒を纏い、悪霊だった人たちは消えていく。……天国できっと幸せに暮らせるはずだ。

『ありがとう。本当にありがとう……』

女性も涙を流しながら消えていく。僕たちはそれをただ見守っていた。

女性が消えると同時に、薄暗いこの空間に真っ白な光が差し込んだ。

「領域が崩壊するぞ」

菫がそう言った刹那、僕は眩しい光に目を閉じた。