涙、滴り落ちるまで〜宝石の悲劇と再生〜

ぼんやりする頭で夢を見ていた。今世じゃなくて前世のものだ。虐げられ、自殺し、死神となって透たちと過ごしたあの日々のことをーーー。

「瑠依!!」

大声と共に、腕を掴まれて水の中から引き上げられる。僕の目の前には静瑠と紫乃がいる。その後ろには、怯えた様子の透たち三人と晴輝と不機嫌そうな菫がいた。

「ここは……」

僕は辺りを見回す。辺りは薄暗い。そして僕たちは、海のような水の上に浮かんだ巨大な木の板のようなものの上にいる。僕たちの周りには大勢の悪霊がいた。

「ここは恐らく悪霊の領域だ」

菫はそう言い、説明してくれた。悪霊とは何らかの未練があり、この世を彷徨い続ける幽霊。その悪霊は現世と自身の心の中に作り出した世界ーーー領域を行き来するらしい。

「領域持ちの悪霊と会ったことがあるからな」

菫はため息を吐く。一体菫はどんな領域を他に見たことがあるんだろう。気になってしまうけど、今はそれどころじゃない。

「ここはどこなの?」

「あれ何なんだ……」