涙、滴り落ちるまで〜宝石の悲劇と再生〜

透、晴輝、陽菜、綾が悲鳴を上げる。四人に霊感はないはずなのに、どうして?

「何?」

「どうした?」

他のクラスメートたちが騒ぎ出す。まずい。みんなには悪霊の姿は見えてない。

「とりあえず、僕たちで悪霊を引き付けてみんなから引き離そう!」

紫乃がそう言い、僕たちは立ち上がる。その時だった。ふわりと潮の香りが鼻腔に入り込む。海が近いのだから、潮の香りはするかもしれない。でも今、この部屋の窓は開けられてないから匂いなんてするはずがーーー。

ゴゴゴゴゴゴ……。

「なぁ、これって何の音だ?」

静瑠が訊ねる。刹那、僕たちの体はどこからか現れた大波に飲み込まれた。