涙、滴り落ちるまで〜宝石の悲劇と再生〜

菫はそう言ったものの、不思議そうに首を傾げた晴輝に「もう怪談会始まっちゃうよ?」と声をかけられてしまい断念せざるを得なかった。

(……ん?)

僕はある人から目を離せなかった。陽菜だ。彼女の顔は真っ青を通り越して真っ白になっている。そして、陽菜の隣にいる透と綾の顔も真っ青になっていた。

「あの三人、大丈夫かな?」

僕が紫乃に声をかけた時だった。「怪談会始めるぞ〜!!」と先生が言ったため、僕たちは口を閉じた。一番目の人が怖い話を始める。

「これは、僕の通っていた小学校のお話です」

その人が話したのは、小学校の七不思議という怪談としてはありきたりなものだった。そのまま二番、三番、四番とみんなが怖い話を披露していく。

(どうしよう……。怖い話、暗記できてないや)

腕をさする。何度かそれを繰り返し、ピタリと体の動きが止まった。……どうして、こんなに部屋が寒いんだろう?冷房の効きすぎ?怪談が怖いから?ううん。違う!