甘い香りに引き寄せられて ~正体不明の彼は、会社の××でした~



「……そんなこと言って、さっきは勘違いしたまま直ぐに出ていっちゃいましたよね」
「一旦頭を冷やそうと思っていたんだよ。無理強いして、君に嫌われたくはなかったからね」
「真宮さんになら……多少無理強いされても、許せます」
「へぇ、そんなことを言っていいのか?」
「だって真宮さんは、私が本気で嫌がることはしませんよね?」
「そうだね。だけどそんな風に言われてしまったら、強引にでも君を匿ってしまいたくなる。君を俺だけのものにしたくて堪らないんだ」
「……いいですよ。私を真宮さんだけのものにしてください」

 結香の言葉に、優雅の抱きしめる力が強くなる。結香もその広い背中に腕を回して、ぎゅっと抱きついた。
 すんと鼻を鳴らせば、結香好みの優しくて甘やかな香りが鼻腔をくすぐる。

「……真宮さん、やっぱりいい匂いがします」
「今日は香の類はつけていないけど……そういえば男女間において、香りは相手との相性を決める重要な要素になるらしい。異性の匂いを気に入った場合、遺伝子レベルで相性が良いと聞いたことがあるな」

 顔を上げれば、優雅は微笑みながらも、結香を熱っぽいまなざしで見下ろしている。

「……白石さん、君が好きだよ。俺と付き合ってくれないかな?」
「……はい。私も真宮さんが好きです」

 目を見て想いを伝え合えば、胸が多幸感で満たされていく。
 微笑み合った二人は、どちらからともなく引き寄せられるようにして唇を重ねた。