「これは、真宮さんが作られたものってことですよね?」
「えぇ、そうです」
「昨日の仕事帰りに、真宮さんと貴女が一緒にいる姿を見かけました。もしかして、その時に作られたんですか?」
「大体それくらいの時間帯でしたから、そうだと思います」
「あの、申し訳ないんですが、あなたは真宮さんの……」
「あぁ、ご挨拶が遅れました。私は真宮の秘書をしている斎藤静香と申します」
「斎藤さんは、その……真宮さんとお付き合いされているわけではないんですか?」

 結香が直球で尋ねれば、淡々と話していた静香は目をぱちりと瞬いた。そして、クスクスと笑いだす。

「とんでもないです。そもそも私、結婚していますので」
「え、ご結婚されてるんですか!?」
「はい」

 胸の前にかざされた左手薬指には、確かにきらりと光る指輪がはめられている。