「あの。真宮さんって、どこの部署の方なんですか? というかそもそも、ウチの会社の人間なんですか?」
優雅が手渡してくれたおしぼりを受け取りながら、結香は直球で尋ねた。
けれど優雅は微かに口角を上げただけで、質問に答えてくれる気はないようだ。
「さぁ、どうだろうね」
「どうだろうねって……」
「そんなことより、まずは料理を頼んでしまおう。希望がなければおすすめのコースを頼んでもいいかな」
多分これ以上聞いたところで、はぐらかされてしまうだけだ。
そう思った結香は一旦追究を諦めて、まずは空っぽのお腹を満たすことにした。
運ばれてきた料理は、どれも絶品だった。
今が旬の鱧の刺身は、舌触りも良く口に入れた瞬間に上品な甘みが広がった。舌がとろけそうとはこのことだ。梅肉醤油につけて食べるのが最高に美味しい。天ぷらも鱧の他に車海老や秋茄子、山菜など種類も豊富で、サクサクとした衣は重すぎず、いくらでも食べられそうだ。
美味しい料理に、一杯だけと思っていたアルコールも進み、結香は良い具合にほろ酔いになった。



