「白石さんは、この後何か予定はあるのか?」
「……まぁ、はい」
「そうか。どうせ一人なら、俺も同行してもいいかな?」
「え。私、一人だなんて行ってませんけど!?」
「それじゃあ、誰か相手がいるのか?」
「そ、それは……」

 言いよどんでしまえば、優雅はまた笑う。

「白石さんは本当に素直だな」
「……嘘がつけない性格なんです」
「それはいいことだ。白石さんは和食は好きか?」
「まぁ、普通に好きです」
「近くにおすすめの店があるんだ。ご馳走するよ」
「え、でも……」
「俺が使っているお香についても、知りたいんじゃないか?」
「えっ。教えてくれるんですか?」
「あぁ、別に構わないよ」

 結香は迷った末、優雅からの誘いを受けることにした。
 お香について知りたいというのもあったし、真宮優雅という人物について気になっているというのもあった。

 素性の知れない、芸能人並みのオーラをもった超絶イケメン。ウチの社員であるのかすら定かではないが、実際に話してみて、彼が悪い人ではないということは分かっている。

 少し意地の悪い性格をしているのでは、とは思ってもいるけれど。