好きな人に愛されて幸せだなどと錯覚していた自分が馬鹿だった。こんなことになるなら最初から生まれた時に殺してくれればよかった。
自室に閉じこもって廊下まで聞こえる大声で泣いているリーゼを心配したラーラとザシャが、何度も声を掛け扉をノックしたが、リーゼは施錠したまま決して開けようとしなかった。
どうしても沸いてくる怒りと悲しみと虚しさを抑えることができない。ベッドから起き上がり、先程まで幸せな気持ちで刺繍をしていたカミルが贈ってくれたウェディングドレスを思いきり破ろうとした。
でもその瞬間、気付けばいつもずっと見つめていてくれたカミルの切なくてやさしい眼差し、抱き締められた広い胸、甘い愛の言葉、そして何度も重ねた唇。すべてのことが思い出されてしまった。ウェディングドレスを破れなかったリーゼは、ドレスに顔を埋めて子供のように泣いた。
夜が来ても真っ暗な部屋の中で声もなく泣き続けた。深夜になり泣き疲れた頃、左手の薬指に嵌めている深紅のルビーの婚約指輪を見て決意した。
部屋の外に出ようとそっと扉を開けると何かに当たった。それは廊下に置かれた銀のトレイの上の食事だった。きっとラーラとザシャが置いていってくれたのだろう。トレイを部屋の中に入れるとリーゼはカミルの居室へと向かった。婚約指輪を返すために。
カミルの居室の扉の前に立ちノックしようとしたが、会うのが怖くてできない。あの冷たい顔であっさりと受け取られたらもう立ち直れない。いろいろなことが一度に起きて、心の許容量は限界を超えていた。
扉のノックはせずに、リーゼだけは自由に出入りすることをカミルが許してくれた城の天辺の展望台に上がった。ここなら指輪を置いていけばカミル自身が必ず見つけるだろうから。
自室に閉じこもって廊下まで聞こえる大声で泣いているリーゼを心配したラーラとザシャが、何度も声を掛け扉をノックしたが、リーゼは施錠したまま決して開けようとしなかった。
どうしても沸いてくる怒りと悲しみと虚しさを抑えることができない。ベッドから起き上がり、先程まで幸せな気持ちで刺繍をしていたカミルが贈ってくれたウェディングドレスを思いきり破ろうとした。
でもその瞬間、気付けばいつもずっと見つめていてくれたカミルの切なくてやさしい眼差し、抱き締められた広い胸、甘い愛の言葉、そして何度も重ねた唇。すべてのことが思い出されてしまった。ウェディングドレスを破れなかったリーゼは、ドレスに顔を埋めて子供のように泣いた。
夜が来ても真っ暗な部屋の中で声もなく泣き続けた。深夜になり泣き疲れた頃、左手の薬指に嵌めている深紅のルビーの婚約指輪を見て決意した。
部屋の外に出ようとそっと扉を開けると何かに当たった。それは廊下に置かれた銀のトレイの上の食事だった。きっとラーラとザシャが置いていってくれたのだろう。トレイを部屋の中に入れるとリーゼはカミルの居室へと向かった。婚約指輪を返すために。
カミルの居室の扉の前に立ちノックしようとしたが、会うのが怖くてできない。あの冷たい顔であっさりと受け取られたらもう立ち直れない。いろいろなことが一度に起きて、心の許容量は限界を超えていた。
扉のノックはせずに、リーゼだけは自由に出入りすることをカミルが許してくれた城の天辺の展望台に上がった。ここなら指輪を置いていけばカミル自身が必ず見つけるだろうから。


