ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!

「久しぶりだな、ヴェンデラ」

「カミル様……」

そこには頬を紅く染めている完全に乙女のヴェンデルガルトがいた。カミルは思わず笑いそうになったがバレると怒られるので、必死に唇を噛みしめて笑いを堪えた。

カミル6世と目が合ったカミルは椅子から立ち上がり、片膝を床につき胸に片手を置いて礼をした。

「君がカミル7世か」

「はい。お初にお目にかかります、カミル6世様」

「あまり時間がない。生贄花嫁の儀式の件だな?」

「私はこの儀式を最後にしたいと思っています。どうしたら儀式を回避し最後にすることができるでしょうか?」

「なぜそう思った?」

「生贄花嫁の娘を心から愛しているからです。たとえこの命と引き換えにしても」

「そうか。支配者の手前公にすることはできなかったが、わしもずっとこの儀式を終わらせたいと願っていた。だからカミル2世の本を人目につかない場所に隠し、その中にわしとヴェンデラの肖像画を入れて同じ志を持つ者が現れるのを待っていたのだ」

「私を導いてくれたのは、私が愛するその生贄花嫁の娘なのです」

「その娘は我々にとっても運命の娘だ。ドラゴンは言った。カミルの名を継ぐ者を自分の命に代えて愛する者が現れた時、呪われし名から解放されると。君が命を落としてもただの無駄死。生贄花嫁の娘が君のために命を落とすことが不可欠なのだ」

「リーゼの命だけは落とせません」

「ならばこの儀式は終わらない。残念だがこれがカミル1世という罪を生み出した当家に対する支配者の深い罰なのだ」

愕然とするカミルにカミル6世は話を続ける。

「しかし、ひとつだけわずかだが望みはある。深紅のルビーの指輪だ」

「貴方様の代から受け継いだ生贄花嫁の婚約指輪ですね」

「あの指輪は122年前の儀式の時に、ドラゴンが落としていったものなのだ」

「ああだから! カミル2世の本の挿絵のドラゴンがその指輪を嵌めていたのか!」