ツンデレ当主の生贄花嫁になったら愛されすぎたので私は生贄になりたいんです!

「それならヴェンデルガルトが言ってた通りじゃないか! 人間世界に紛れ込んで支配者に見つからないように、姿形を変えて生きているって」

「もしイルメラと母親が黒蛇筋だとしたら、元来はブラックオパールの瞳だったかもしれない。それを隠す方法を知っていて黒い瞳になった。それなら逆も然り。普通の瞳をブラックオパールの瞳にすることもできるはず」

「それじゃあ、イルメラの母親は自分が大公妃となるためリーゼの母親を何らかの方法で殺し、リーゼの左目もブラックオパールの瞳にして呪われし子として殺させようとしたのか?」

「そう考えればすべての辻褄があう」

「なんて怖ろしい。邪悪さが常軌を逸しているよ」

「尚更黒蛇筋の女の可能性が高くなるというものだ」

「許せない。リーゼの人生を滅茶苦茶にしたうえ、カミルまで狙って欺こうとしているなんて」

「リーゼのために怒ってくれてありがとう、ザシャ」

「僕もずっとカミルのリーゼへの想いは知っているからね。カミルにもリーゼにも幸せになってほしいんだ。いや、待てよ。それならこれでもう問題解決じゃないか」

「?」

「リーゼじゃなくて、イルメラを生贄花嫁にすればいい」

「駄目だ」

「どうして? リーゼをこんなに酷い目に遭わせてるのに?」

「イルメラを生贄花嫁にすればリーゼは必ずイルメラを庇って、自分が生贄花嫁になろうとするだろう。そんなことになればヴェンデルガルトの言う通り、リーゼが命を落とすことになる。たとえ知らせずにイルメラを生贄にしても、いずれ真実を知ったリーゼは俺から離れていく」

「さすがによくわかってるね、リーゼの性格を」

「だから俺はあの娘が好きなんだ。たとえ自分が不幸になろうとも、いや、自分を不幸にする相手のためにでさえ、自分が犠牲になろうとする」

「それに引き換えあのイルメラの邪悪さは、黒蛇筋の女に違いない」

「黒蛇筋の一族が黒い森の支配者の怒りを買った時、逃げ込んだのは死の森だ。おそらくブラックオパールの瞳関連の薬品も死の森で手に入れているのだろう」

「怖ろしい一族め」