人々から驚きと悲鳴に似た叫び声が上がり街中が騒然となる。
大勢の人々から恐怖と好奇と怒りに近い露骨な嫌悪感を浴びせられたリーゼは、はじめて人間の怖さを感じて震え上がった。
早く逃げなければ! 呪われし子として襲われるかもしれない!
「本当にごめんなさい!」
それだけ大男に言うとリーゼは露わになった左目を手で隠し、抱えた紙袋から林檎を何個も落としながら城まで一目散に走って逃げた。
急いで監禁塔の自分の部屋に戻り左目に包帯を巻く。
紙袋の中の林檎は半分以下になってしまった。
せっかくイルメラにブラックオパールの瞳だと誰にも知られてはいけないと忠告されたばかりだったのに。
あんなに大勢の人にブラックオパールの瞳を見られてしまった。
こんなにブラックオパールの瞳だと人々に知られることが怖ろしいことだとは知らなかった。
人目に付かないよう父親の大公が監禁塔に幽閉した理由がはじめて心の底からわかった気がした。
決してブラックオパールの瞳だと知られてはいけないのだ。
それなのに。
大丈夫だろうか? 生贄花嫁にできる娘がいたと耳にした狼筋の男が探し出して城にやってこないだろうか?
でも果物屋にも名乗っていないし、自分がどこの誰かだなんてきっと誰にもわからないはず。
そうよ、きっと大丈夫。
しかしリーゼの願いは叶わなかった。
購入した林檎を半分以上落としてしまい、買い出しも碌にできないのかと料理長に叱られた数日後。
監禁塔の最上階のリーゼの部屋に夜遅く、滅多に来ることなどない父親のケンプテン大公が訪ねてきた。
「どうしたのお父様、こんな夜遅くに」
「我が愛しき娘、リーゼよ」
そう言った後、大公は首を横に振りながら言った。
「お前の縁談が決まったのだよ」
「縁談!? この私が?」
嫌な予感がした。
「相手は黒い森の正統管理者の一人だ」
「まさか!」
「ああ。黒い森の支配者に捧げるための、狼筋の男の生贄花嫁だ」
「そんな……」
リーゼは口を両手で覆ってわなわなと震え出した。
大勢の人々から恐怖と好奇と怒りに近い露骨な嫌悪感を浴びせられたリーゼは、はじめて人間の怖さを感じて震え上がった。
早く逃げなければ! 呪われし子として襲われるかもしれない!
「本当にごめんなさい!」
それだけ大男に言うとリーゼは露わになった左目を手で隠し、抱えた紙袋から林檎を何個も落としながら城まで一目散に走って逃げた。
急いで監禁塔の自分の部屋に戻り左目に包帯を巻く。
紙袋の中の林檎は半分以下になってしまった。
せっかくイルメラにブラックオパールの瞳だと誰にも知られてはいけないと忠告されたばかりだったのに。
あんなに大勢の人にブラックオパールの瞳を見られてしまった。
こんなにブラックオパールの瞳だと人々に知られることが怖ろしいことだとは知らなかった。
人目に付かないよう父親の大公が監禁塔に幽閉した理由がはじめて心の底からわかった気がした。
決してブラックオパールの瞳だと知られてはいけないのだ。
それなのに。
大丈夫だろうか? 生贄花嫁にできる娘がいたと耳にした狼筋の男が探し出して城にやってこないだろうか?
でも果物屋にも名乗っていないし、自分がどこの誰かだなんてきっと誰にもわからないはず。
そうよ、きっと大丈夫。
しかしリーゼの願いは叶わなかった。
購入した林檎を半分以上落としてしまい、買い出しも碌にできないのかと料理長に叱られた数日後。
監禁塔の最上階のリーゼの部屋に夜遅く、滅多に来ることなどない父親のケンプテン大公が訪ねてきた。
「どうしたのお父様、こんな夜遅くに」
「我が愛しき娘、リーゼよ」
そう言った後、大公は首を横に振りながら言った。
「お前の縁談が決まったのだよ」
「縁談!? この私が?」
嫌な予感がした。
「相手は黒い森の正統管理者の一人だ」
「まさか!」
「ああ。黒い森の支配者に捧げるための、狼筋の男の生贄花嫁だ」
「そんな……」
リーゼは口を両手で覆ってわなわなと震え出した。


