カミルに促されリーゼが着席すると料理が次々と運ばれてきた。
監禁塔に召使として幽閉されていたリーゼには食べたことのないような豪華な御馳走ばかりだ。
しかしラーラとアフタヌーンティーを楽しみすぎて、お腹がいっぱいで食事がすすまない。
「どうやら、狼筋の料理は人間の口には合わないようだ」
ニクラス5世が冷たく言い放つ。
「緊張しているのですよ」
何も言えないリーゼの代わりにカミルが答えてくれた。
「カミルよ、いくらブラックオパールの瞳を持つ娘を生贄花嫁にせねばならぬとしても、もっと他におったであろうに。こんな薄汚い包帯を巻いた人間の召使上がりの娘など」
「お爺様」
ザシャが止めに入ってくれたが、ニクラス5世は止まらない。
「大体こんな娘が生贄花嫁では、黒い森の支配者が満足するかどうか」
「大丈夫ですよ、お爺様。所詮、生贄花嫁なのですから」
いきなりリーゼの心臓はナイフで突き刺されたかのようにズキリと激しく痛んだ。
食事の手を止めることもなく、顔を上げることもなく、カミルが何の感情もなく淡々と言い放った「所詮、生贄花嫁なのですから」。
この言葉が一瞬でリーゼを深い闇へと突き落とした。
そうだった。
いくら良い部屋や高価なドレスやダイヤモンドを用意されようと、いくら甘くてやさしい言葉をかけられて抱き締められようと、カミルにとっては所詮ただの生贄花嫁なのだ。
知らないうちに心のどこかで浮かれていた自分が恥ずかしくなる。
それまではお腹がいっぱいで食事が喉を通らなかったのに、今度は心が痛くて食欲など全くなくなった。
その後のヴォルフ家の一族が交わしている楽しそうな会話は一切リーゼの耳には入ってこなかった。
やはり自分はどこへ行っても受け入れられることなどない、呪われし子なのだ。
早く122年に一度の紅の月の夜の生贄花嫁の儀式の日がこればいいのにとさえ思った。
監禁塔に召使として幽閉されていたリーゼには食べたことのないような豪華な御馳走ばかりだ。
しかしラーラとアフタヌーンティーを楽しみすぎて、お腹がいっぱいで食事がすすまない。
「どうやら、狼筋の料理は人間の口には合わないようだ」
ニクラス5世が冷たく言い放つ。
「緊張しているのですよ」
何も言えないリーゼの代わりにカミルが答えてくれた。
「カミルよ、いくらブラックオパールの瞳を持つ娘を生贄花嫁にせねばならぬとしても、もっと他におったであろうに。こんな薄汚い包帯を巻いた人間の召使上がりの娘など」
「お爺様」
ザシャが止めに入ってくれたが、ニクラス5世は止まらない。
「大体こんな娘が生贄花嫁では、黒い森の支配者が満足するかどうか」
「大丈夫ですよ、お爺様。所詮、生贄花嫁なのですから」
いきなりリーゼの心臓はナイフで突き刺されたかのようにズキリと激しく痛んだ。
食事の手を止めることもなく、顔を上げることもなく、カミルが何の感情もなく淡々と言い放った「所詮、生贄花嫁なのですから」。
この言葉が一瞬でリーゼを深い闇へと突き落とした。
そうだった。
いくら良い部屋や高価なドレスやダイヤモンドを用意されようと、いくら甘くてやさしい言葉をかけられて抱き締められようと、カミルにとっては所詮ただの生贄花嫁なのだ。
知らないうちに心のどこかで浮かれていた自分が恥ずかしくなる。
それまではお腹がいっぱいで食事が喉を通らなかったのに、今度は心が痛くて食欲など全くなくなった。
その後のヴォルフ家の一族が交わしている楽しそうな会話は一切リーゼの耳には入ってこなかった。
やはり自分はどこへ行っても受け入れられることなどない、呪われし子なのだ。
早く122年に一度の紅の月の夜の生贄花嫁の儀式の日がこればいいのにとさえ思った。


