第一王子は国王を継承し第二王子は最高聖職者に就任することが決まっている。第三王子のフリッツはケンプテン大公国を継承できなければウルム王国に居場所はない。
フリッツと共にウルム王国に到着したリーゼは、フリッツの父親であるウルム国王と謁見した。
国王は優しいフリッツとは違って、威圧的で怖い印象だった。左目に包帯を巻いている醜い姿のせいか最後まで一度も目線も合わせて貰えず、招かれざる客だと理解した。
退席するよう促されフリッツを残して図書室に行ったリーゼは、ドラゴンの文字の辞書を探した。ウルム王国の図書室にはあらゆる獣筋の言葉が人間の言葉に翻訳された辞書があり、そこにドラゴンの文字の辞書もあった。これがあればヴェンデルガルトから貰った本も解読できる。
リーゼが図書室を出てフリッツを待つために謁見室の外の廊下の扉の前まで来た時、部屋の中から国王が大声で酷く誰かを罵っている声が聞こえてきた。
「何!? イルメラに婚約破棄されただと! 馬鹿者! あんな小国の小娘の一人や二人落とせなくてどうする!」
「申し訳ございません、父上」
罵られているのは明らかにフリッツだった。
「わかっているだろうな? ケンプテン大公国を我が物にできなければ貴様の存在価値などないことを」
「はい」
「貴様も知っている通り、先週北東のゲッシャー国が兵力を増強しているとの報告が入った。あの包帯を巻いた醜い娘でかまわん。今すぐにでも結婚式をあげてケンプテン大公国を奪い取れ。わかったな!」
「承知致しました、父上」
フリッツが部屋の中から出てくると、リーゼはたった今来たかのように装って微笑みかけた。二人はそのままケンプテン大公国へと馬車で戻った。
フリッツと共にウルム王国に到着したリーゼは、フリッツの父親であるウルム国王と謁見した。
国王は優しいフリッツとは違って、威圧的で怖い印象だった。左目に包帯を巻いている醜い姿のせいか最後まで一度も目線も合わせて貰えず、招かれざる客だと理解した。
退席するよう促されフリッツを残して図書室に行ったリーゼは、ドラゴンの文字の辞書を探した。ウルム王国の図書室にはあらゆる獣筋の言葉が人間の言葉に翻訳された辞書があり、そこにドラゴンの文字の辞書もあった。これがあればヴェンデルガルトから貰った本も解読できる。
リーゼが図書室を出てフリッツを待つために謁見室の外の廊下の扉の前まで来た時、部屋の中から国王が大声で酷く誰かを罵っている声が聞こえてきた。
「何!? イルメラに婚約破棄されただと! 馬鹿者! あんな小国の小娘の一人や二人落とせなくてどうする!」
「申し訳ございません、父上」
罵られているのは明らかにフリッツだった。
「わかっているだろうな? ケンプテン大公国を我が物にできなければ貴様の存在価値などないことを」
「はい」
「貴様も知っている通り、先週北東のゲッシャー国が兵力を増強しているとの報告が入った。あの包帯を巻いた醜い娘でかまわん。今すぐにでも結婚式をあげてケンプテン大公国を奪い取れ。わかったな!」
「承知致しました、父上」
フリッツが部屋の中から出てくると、リーゼはたった今来たかのように装って微笑みかけた。二人はそのままケンプテン大公国へと馬車で戻った。


