「琳廻ぇぇぇえッ !!!!」
「ぅわ 、 っ、何、どーしたの 菜子 …?」
何時もと変わらない朝。
私、 愛依 琳廻 は、
朝から友達の 寿 菜子 に突撃された。
「聞いてよぉ〜…、あのゲームが引くほどムズいの!」
「えーと、なんだっけ……【 あい の 輪廻 】、だっけ」
菜子は、【あいの輪廻】というゲームにどハマりしている。
毎朝毎朝そのゲームについて話しに来るお陰で、プレイしたことのない私にも概要が解るようになった。
このゲームは、学園モノの乙女ゲームらしい。
イケメンな攻略対象達とキャッキャウフフな学園ライフを過ごそう!
……的な。
一見、普通の乙女ゲームだと思うけれど……
まず、キャラが多く、内容が濃すぎる。
まぁ定番の
イケメン幼馴染、イケメン御曹司、イケメン生徒会長、イケメン教師……
そして
イケメン能力者、イケメン人外、イケメン天才、イケメン一国の王子、イケメン警察、イケメン怪盗、イケメン犯罪者……
などなど、字面だけでも十分です、というようなキャラ達が大量に存在するらしい。学園モノなのに、学園を飛び出してしまってすらいる。私からしたら謎ゲーと化している。
……そして、このゲームは、こんな内容が濃すぎるキャラ達の攻略が激ムズらしいのだ。
このゲームでは好感度、というものが存在していて、
攻略完了の好感度は100
しかし、何をどう頑張っても、好感度が50以上出た人は居ないのだとか。
「それそれ!いやぁ〜、攻略対象達、物凄いイケメンで『絶対攻略してやる!!』って思ってたんだけどさぁ…」
「菜子が攻略できない乙女ゲームとか、珍しいね?」
「制作会社どうなってんのよぉ〜……、まあ眼福だからいいんだけど!……とまあ、前置きは置いて。…琳廻!!」
菜子は急に私の顔を拝んだ。
「お願いだから、【あいの輪廻】、プレイしてくださいっ!」
「嫌だ」
「なんでぇぇっ!?」
絶対に、嫌だ。お断りだ。私は昔から乙女ゲームなるものが大の苦手だから。
プレイしてても、
『どうしてココで進まない!?』
だとか
『告白して!!さっさと告白してくっついて!!!』
とか、
いわゆる “エモい” 、“萌える” とかいうシチュエーションが全く理解できんのだ。
「だ、だってぇ〜……“1000年に1人の魔性の女”なら攻略できんのかなって」
「その渾名で呼ばないで???恥ずかしいからっ!」
なんだ、“1000年に1人の魔性の女”って。
あのめちゃくちゃ可愛い俳優ちゃんの異名をもじってるよね???
なんで“美少女”が“魔性の女”になるの????
あと私そんなにモテない。
「そんなにモテてないのに、本当になんなの?その渾名」
「えぇ……気づいてないの?琳廻はモテてるでしょ!!その魔性で!!!」
「魔性じゃないわ!!」
「魔性なの!!だから攻略対象達、琳廻なら攻略できるからっ!!」
「何その謎の自信!?」
「…まぁいいや。でもお願い!!一生のお願い!!プレイしてみて!!!!」
菜子が必死になって私に頼み込む。
……なんか、罪悪感が湧いてしまうじゃないか。
「………わかったよ、やってあげる。」
「やったぁぁ!!感想聞かせてね!!最近流行りの没入型ゲームだから、グラフィックとか、色々凄いんだよ〜!」
最近流行りの没入型ゲーム。
専用のデバイスを装着すると、まるでその世界に住んでいるかのような感覚になることができるという。
従来の没入型ゲームは視覚、聴覚 等だけだったが、
最新のものでは視覚、聴覚だけでなく、臭覚、味覚、触覚、平衡感覚、圧覚、温覚、冷覚、痛覚などなど、それはまぁ沢山の機能が追加されているそうだ。
そんな沢山の機能を備えたゲームはお高いのだが、菜子の家はここらで有名なグループの創設者の一人娘なので、1ゲーム手に入れるくらい、朝飯前ならしい。
「菜子が貸してくれるゲーム、毎回高いやつだから…壊したりしたらヤバいじゃん、」
「いーのいーの!琳廻は私の数少ない友達なんだから」
「菜子って優しいよね、そういう所、私好き。」
「まぁっ、告白!?」
「違うわ」
「ふふッ 笑」
菜子にゲームを借りに行く日程を決める。
「そーいえば、このゲーム、好感度が100超えると攻略対象達にゲーム内に閉じ込められちゃうんだっけ」
「え、なにそれ?」
「いや、なんか都市伝説?的な…」
「怖っ、やめてよ〜!」
「いやいや、ホントに都市伝説だから!だって誰も好感度100なんか行ってないし、行ったら奇跡だもん!そんな事起きないから!!」
「さっき私には攻略出来るとかいってなかった?」
「……気の所為じゃ???」
菜子は笑いながら言った。
「所詮ゲームだからさ、危険なんかじゃないって!」
私は、このゲー厶が
【あいの輪廻】が
私を狂わせるとは、知らなかった。



