最初は放課後、次は昼休み、今回はただの休み時間。
だけど、これは変化というより、わたし自身が行動を変えたことに付随する結果と言えた。
どれも偶然鉢合わせたような形だったから、きっと先輩と顔を合わせるのも決まりきった“今日”の出来事なのだと思う。
たぶん、わたしが休み時間に教室を出なければ、自然と最初のように放課後に声をかけられる展開になるのだろう。
昼休みを告げるチャイムが鳴る。
“今日”も気づいたら郁実の姿が消えていた。
購買に行っているのだと“昨日”分かったことだし、過剰に気を揉む必要はないはず。
とはいえ、いまはもっとヒントが欲しかった。
御影の言う通り“変化”を探してみたけれど、結局まだ何も分からずじまいだ。
このままじゃ、5回とも同じことの繰り返しであっけなく終わってしまう気がする。
本当に結末を変えることなんてできるのかな。
(御影、は……)
教えでも導きでも何でもいいから乞おうと思ったのに、いつの間にか彼もいなかった。
“昨日”に続いて“今日”も、また。
「もう、肝心なときに……」
「俺に何か用か?」
小さくぼやいた瞬間、目の前に当の本人が現れる。
びくりと驚いて息をのむうち、彼は自身の机に悠々と腰かけていた。
「びっくりした。何それ、瞬間移動でもできるの?」
「聞くだけ野暮だろ。俺に不可能はねぇよ」
ふん、と堂々たる笑みを口元にたたえる御影は、強気を通り越してもはや偉そうだ。
けれど、実際ただの大口でもないんだろう。
時間を巻き戻したり記憶をいじったりしてのけるのだから、瞬間移動くらい息をするのと変わらないかもしれない。
「で、何か話でもあんの? 俺を呼んだよな」
どうして、と喉元まで出かかったけれど飲み込んだ。
それもまた聞くだけ野暮のような気がする。
「うん、あのね……もう少し分かりやすく教えて欲しいの。どうしたら結末を変えられるのか」
言いながら、焦りと不安でだんだん声が小さくなった。
リミットがあるのに、どうするべきなのか糸口さえ掴めない現状が恐ろしくてたまらない。
御影は声を上げて笑った。
嘲笑うかのように。あるいは、心底愉快そうに。
「なんだ、思ったより音を上げるのが早ぇな。おまえみたいな人間は都合がいいぜ、悪魔にとってな」
その言葉を受け、思わず気色ばむ。
「ちがうよ、諦めたわけじゃない。どうしても郁実を救いたいから聞いてるの。見くびらないで」



