「あはははは! もしかして俺を励まそうとしてくれてる? ほんと月見ちゃんって優しいね」
「入谷さんも優しいですよ。だって私が責められないように、わざと柴田さんに怒ってるみたいな感じで話してくれたんですよね?」
「また君に無自覚イケメンって怒られちゃうから」
なんだ、俺たちめっちゃ通じ合ってるじゃん!
もう課長のこととかどうでもよくなってきた。
「まあ誰だって自分の身を護るために必死だよね。USB戻してくれただけ課長もいい人かも。プレゼンにも間に合ったし」
「そういう入谷さんの考え方、素敵だなって思います」
違う。
俺に物事の捉え方を教えてくれたのは彼女だ。
あの頃、彼女はメンターで俺はプロテジェだった。
まっすぐに彼女を見つめる。
もういっそのこと想いの丈をここですべて吐き出してしまおうか?
いやその前に謝らないと……でもなんて言い出したら……せっかくの楽しい雰囲気を壊すのは嫌だ。
迷っているうちにオーダーした料理が続々と運ばれてきて一緒に取り分けながら食事をした。
イタリア産の白ワインと赤ワインも愉しみながら。
一頻り食事を終えた頃、彼女が真顔で話し始めた。
「あの、もうひとつ謝らせてください。この前の夜、御馳走もしてもらったのにあんな子供みたいに泣いて逃げるように帰ったりして、本当にごめんなさい」
「ああ、あれは俺が悪くて……」
しまった。先を越された。
「いいえ。入谷さんももう気付いてるとおり、私は雪見じゃありません。双子の姉の月見なんです。ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「私、幼い頃からたくさんの人に雪見と間違えさせては違ったってがっかりさせてきたんです。だから、入谷さんもがっかりさせてしまうと思ったら、あんな風に取り乱してしまって」
「もしかして、ものすごいコンプレックスとか抱えてるんじゃ? 話すのも辛いなら無理しなくていいんだよ」
「入谷さんも優しいですよ。だって私が責められないように、わざと柴田さんに怒ってるみたいな感じで話してくれたんですよね?」
「また君に無自覚イケメンって怒られちゃうから」
なんだ、俺たちめっちゃ通じ合ってるじゃん!
もう課長のこととかどうでもよくなってきた。
「まあ誰だって自分の身を護るために必死だよね。USB戻してくれただけ課長もいい人かも。プレゼンにも間に合ったし」
「そういう入谷さんの考え方、素敵だなって思います」
違う。
俺に物事の捉え方を教えてくれたのは彼女だ。
あの頃、彼女はメンターで俺はプロテジェだった。
まっすぐに彼女を見つめる。
もういっそのこと想いの丈をここですべて吐き出してしまおうか?
いやその前に謝らないと……でもなんて言い出したら……せっかくの楽しい雰囲気を壊すのは嫌だ。
迷っているうちにオーダーした料理が続々と運ばれてきて一緒に取り分けながら食事をした。
イタリア産の白ワインと赤ワインも愉しみながら。
一頻り食事を終えた頃、彼女が真顔で話し始めた。
「あの、もうひとつ謝らせてください。この前の夜、御馳走もしてもらったのにあんな子供みたいに泣いて逃げるように帰ったりして、本当にごめんなさい」
「ああ、あれは俺が悪くて……」
しまった。先を越された。
「いいえ。入谷さんももう気付いてるとおり、私は雪見じゃありません。双子の姉の月見なんです。ごめんなさい」
「なんで謝るの?」
「私、幼い頃からたくさんの人に雪見と間違えさせては違ったってがっかりさせてきたんです。だから、入谷さんもがっかりさせてしまうと思ったら、あんな風に取り乱してしまって」
「もしかして、ものすごいコンプレックスとか抱えてるんじゃ? 話すのも辛いなら無理しなくていいんだよ」


