プレゼンの配布資料を完成させシャワーを浴び着替えると、いつもよりかなり早い時間に出社した。
営業部のフロアに入ろうとした時、まだ誰もいないはずなのに人影を感じた。
本能的にドアの陰に隠れる。
顔だけ覗かせて中を見ると、彼女のデスクの上にUSBを置いている人物がいる。
それは、営業2課の吉田課長だった。
あの人が犯人だったのか。
まあ誰が犯人でもそこまで意外性は感じないが、俺を陥れようとするその心にはやはりショックを受ける。
とはいえ、咎めることはしなかった。
異動初日、課長は俺に「来年の定年まで課長の座を奪われないように頑張らないとなあ」と自虐的ではあるが言っていた。
ある意味ちゃんと俺に本心を告げていたわけだ。
すぐに部屋の中には入らずに、しばらく時間をおいてから入った。
課長は何もなかったようにコーヒーを啜っている。
「おはようございます!」
いつも通りに挨拶をする。
そして彼女のデスクに近づくと「なんだ、ここにあるじゃん」と小さく呟いてからUSBを手に取り、自分のデスクのパソコンで読み込んだ。
その間課長は俺の方を見なかったし、終始無言だった。
コピー機の前で配布資料の印刷をしていると、柴田さんが出勤してきて手伝ってくれた。
「でもどうして入谷さんが自分で作ってるの? 昨日深沢さんに頼んでなかった?」
「それがさあ、作ってくれてなかったんだよね。ホント困るわ、こういうの。今日は早めに出勤してきてよかったわ」
もちろんこんなことはこれっぽっちも思っていないが、当事者の俺がこう言っておけば不必要に彼女が責められることもないだろう。
営業部のフロアに入ろうとした時、まだ誰もいないはずなのに人影を感じた。
本能的にドアの陰に隠れる。
顔だけ覗かせて中を見ると、彼女のデスクの上にUSBを置いている人物がいる。
それは、営業2課の吉田課長だった。
あの人が犯人だったのか。
まあ誰が犯人でもそこまで意外性は感じないが、俺を陥れようとするその心にはやはりショックを受ける。
とはいえ、咎めることはしなかった。
異動初日、課長は俺に「来年の定年まで課長の座を奪われないように頑張らないとなあ」と自虐的ではあるが言っていた。
ある意味ちゃんと俺に本心を告げていたわけだ。
すぐに部屋の中には入らずに、しばらく時間をおいてから入った。
課長は何もなかったようにコーヒーを啜っている。
「おはようございます!」
いつも通りに挨拶をする。
そして彼女のデスクに近づくと「なんだ、ここにあるじゃん」と小さく呟いてからUSBを手に取り、自分のデスクのパソコンで読み込んだ。
その間課長は俺の方を見なかったし、終始無言だった。
コピー機の前で配布資料の印刷をしていると、柴田さんが出勤してきて手伝ってくれた。
「でもどうして入谷さんが自分で作ってるの? 昨日深沢さんに頼んでなかった?」
「それがさあ、作ってくれてなかったんだよね。ホント困るわ、こういうの。今日は早めに出勤してきてよかったわ」
もちろんこんなことはこれっぽっちも思っていないが、当事者の俺がこう言っておけば不必要に彼女が責められることもないだろう。


