窓のブラインドの隙間から朝の太陽の光が漏れてきた頃。
パチパチとノートパソコンのキーボードを叩いていると、ソファーの上で彼女が起き上がった。
「あ、目が醒めた?」
「私、寝ちゃってたんですね」
「家まで送っていくつもりだったけど、ここでそのまま寝てもらった方が良さそうだったから」
彼女が時計を見る。朝の5時だ。
「ずっとやってみえたんですか?」
「少し仮眠したけどね。よし! できた!」
「お疲れさまです! 私、今から会社行って冊子にしますね!」
「ダメダメ。昨日と同じ服じゃ怪しまれるよ」
「そうだった……」
「あとは俺がやるから。一旦家に帰ってから普通に出社してくれればいいよ。今タクシー呼ぶね」
「電車で帰るから大丈夫です! 本当にいろいろすみませんでした!」
元気よく一礼したあと、彼女は鞄を持って部屋から出ていこうとした。
このまま逃したら、満月はまた叢雲の中にその姿を隠してしまう。
俺は彼女の腕をうしろから掴んでいた。
「あのさ、このプレゼンうまくいったら二人で打ち上げしよ」
「はい!」
それは俺が見てきた彼女の歴史の中で一番の笑顔だった。
深沢月見流最終奥義! 一撃必殺破顔一笑!
俺の心は撃ち抜かれ死んだ。
そして新たに誕生したトキメキが笑顔となって弾けた。
きっと彼女は俺のニヤけた顔を見て気持ち悪いと思ったに違いない。
玄関で出ていく彼女を見送ると、両腕を高く上げて大きな背伸びをひとつした。
ああ、俺、東京に来て本当によかった!
パチパチとノートパソコンのキーボードを叩いていると、ソファーの上で彼女が起き上がった。
「あ、目が醒めた?」
「私、寝ちゃってたんですね」
「家まで送っていくつもりだったけど、ここでそのまま寝てもらった方が良さそうだったから」
彼女が時計を見る。朝の5時だ。
「ずっとやってみえたんですか?」
「少し仮眠したけどね。よし! できた!」
「お疲れさまです! 私、今から会社行って冊子にしますね!」
「ダメダメ。昨日と同じ服じゃ怪しまれるよ」
「そうだった……」
「あとは俺がやるから。一旦家に帰ってから普通に出社してくれればいいよ。今タクシー呼ぶね」
「電車で帰るから大丈夫です! 本当にいろいろすみませんでした!」
元気よく一礼したあと、彼女は鞄を持って部屋から出ていこうとした。
このまま逃したら、満月はまた叢雲の中にその姿を隠してしまう。
俺は彼女の腕をうしろから掴んでいた。
「あのさ、このプレゼンうまくいったら二人で打ち上げしよ」
「はい!」
それは俺が見てきた彼女の歴史の中で一番の笑顔だった。
深沢月見流最終奥義! 一撃必殺破顔一笑!
俺の心は撃ち抜かれ死んだ。
そして新たに誕生したトキメキが笑顔となって弾けた。
きっと彼女は俺のニヤけた顔を見て気持ち悪いと思ったに違いない。
玄関で出ていく彼女を見送ると、両腕を高く上げて大きな背伸びをひとつした。
ああ、俺、東京に来て本当によかった!


