「あの、私、明日のプレゼンの配布資料のUSB失くしちゃったんです」

「え!? どういうこと?」

ちょ、これはマジで予想外!

「デスクの上に置いておいたはずなのに昼休憩から戻ったら失くなってたんです。しっかり管理しておかなかった私の責任です」

「マジか……」

動揺を隠そうと手で口を押さえたがきっと隠せてない。

「あのっ、もう一度プレゼンのデータ貰えませんか? そしたら私今から会社に戻って資料作るので」

「それがさ、プレゼンの資料、あのUSBにしか保存してないんだ」

「えっ!?」

「まさかなくなるとは思ってなかったから」

「そうですよね、本当にごめんなさい」

「いや、ちゃんとバックアップ取ってなかった俺が悪い。心配しないで。もう一度作り直すから」

「でも!」

「今から徹夜すればできると思う」

「それなら私も手伝わせてください! プレゼン内容は書けないけれど、レイアウトとかデータ入力とか、表とかグラフ作ったりとかならできますから!」

「いいの? それやってもらえるとかなり助かる」

「だって私のせいですから。私ができることはなんでもやらせてください!」

「ありがとう。じゃあ俺の部屋来て。今からすぐに取り掛かろう」

「はい!」

まさかこんな形で彼女を家に招くことになるとは思ってもみなかった。

一応変なものがないかリビングを見渡したが、引っ越してきたばかりで段ボール箱が山のように積み上げられているだけだ。