甘い香りに包まれた小さな洋菓子店『ひだまりの森』。


木目のカウンターの奥では、夫婦が並んで焼き菓子を並べている。

わたしはその手伝いをしながら、ショーケース越しに微笑んだ。


ここでの毎日は穏やかで、何も起きないはずだった。

そう――“あの日”までは。