代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~

 だが八尋が二人の思考を知るはずもない。

 罪作りともいえる微笑みで、しかも芸能人なのだから完璧な笑顔で、堂々と言い放つ。

「それが弟の婚約者さんの従姉妹さんで、しかも俺のファンでいてくださったなんて! なんか、運命みたいですね」

 ズギュン、と一華の胸が真っ直ぐに射抜かれる音が、七海にははっきり聞こえた。

 もちろん幻聴に決まっているが、一華の気持ちはまさにその通りだろう。

 あまりの偶然と幸運……それこそ運命……に固まった一華の姿に、七海と玖苑は視線を合わせるしかなかった。

(結果的に、良かった……のかな?)

 七海が視線で聞いたことに、玖苑は苦笑を浮かべて、小さく頷いた。

 運命の恋は、どうやらひとつではなかったらしい。

 いくつも絡み合った運命は、七海と玖苑、そして周囲の人たちも含めて、たくさんの幸福をもたらしてくれることだろう。


(完)