アーサ王子の君影草 下巻 ~約束の箱庭にて、再び~

 彼の横に座るユージーンは驚きと焦りで目を白黒させている。

「セィシェルくんだね。どうぞ君の意見を聞かせて欲しい」

 狼狽するユージーンを横目に、セィシェルは勢いよく席から立ち上がった。

「俺、まだ納得してないんすけど。スズを王宮で保護するっての。本当にここのが、酒場(うち)よりも安全なのか。それとこれは、スズの意思なのか……まだちゃんと本人からも聞いてないし。あと! そこの王子だか何だか知らないけど……こ、婚約とか……俺は絶対に認め…」

「セィシェルっ!」

 ユージーンが声を荒げ、険しい顔で首を横に振る。

「ああ。大丈夫だよ。率直な意見をありがとう、セィシェルくん。君の気持ちは痛い程に分かるよ……しかしこの婚約に関しては既に個人間の想いや、感情では及ばない大きな問題になってきているんだよ」

「……問題?」

「ああ、説明不足で申し訳ない……順に状況を説明してもらっても良いかな、コルト」

 名を呼ばれ、この場を一任されたのはライオネルの傍らに控えていた側近のコルト。同様にこれまでの経緯不足を謝罪し、一から状況を整理してゆく。

 先ず現在。
 リノ・フェンティスタ全土がどのような状況下に置かれているのか───大まかに説明するコルト。
 現在の状況は、かの日……十一年前。内乱が勃発する直前の雰囲気と酷似しているとの事。