「……っ!」
「だからこそ、だ」
再び、王の視線がハリを射抜く。
「ハリ君。君は安全な方法を知っているように見える」
王としての勘の様なものなのだろうか。確信ではない。だが疑いでもない。ハリは小さく息を吐いた。
「もしそうであるならばスズラン嬢の首輪飾りは、どのようにして外されたのか。私はそれを知りたい」
「それは……お教え出来ません」
即答だった。
「そうか。では、その外された首輪飾りの所在を聞こう。現在もそれを所持しているのは──君かな? ハリ君」
やはりライオネルは責めなかった。ただ静かに問いを重ねる。彼の声がまだ耳の奥に残っている。淡々としていた筈の言葉が何故か胸の奥を擦った。
───命を代価にして。
(……関係ない)
そう思ったはずなのに視線を伏せた瞬間、顬の奥がじくりと疼いた。理由の分からない痛み。思い出そうとする度、逃げる様に曖昧になる記憶。
(……僕は、何を知っている? それとも、逃げているだけなのか──)
───薄暗い回廊。冷たい床。誰かの背中。
高い背丈。冷えた声。指先に絡む金の光。
「……見ないで」
万理の声。震えているのに必死に笑おうとする顔。
「大丈夫。玻璃は何も心配しなくていいから」
乾いた金属の嫌な音。
白くて細い首には見知らぬ金細工の首輪飾り。
今まで保たれていた何かが壊れた気がした。
(……嫌だ)
ハリは強く目を閉じる。
(こんな記憶、僕は——)
「だからこそ、だ」
再び、王の視線がハリを射抜く。
「ハリ君。君は安全な方法を知っているように見える」
王としての勘の様なものなのだろうか。確信ではない。だが疑いでもない。ハリは小さく息を吐いた。
「もしそうであるならばスズラン嬢の首輪飾りは、どのようにして外されたのか。私はそれを知りたい」
「それは……お教え出来ません」
即答だった。
「そうか。では、その外された首輪飾りの所在を聞こう。現在もそれを所持しているのは──君かな? ハリ君」
やはりライオネルは責めなかった。ただ静かに問いを重ねる。彼の声がまだ耳の奥に残っている。淡々としていた筈の言葉が何故か胸の奥を擦った。
───命を代価にして。
(……関係ない)
そう思ったはずなのに視線を伏せた瞬間、顬の奥がじくりと疼いた。理由の分からない痛み。思い出そうとする度、逃げる様に曖昧になる記憶。
(……僕は、何を知っている? それとも、逃げているだけなのか──)
───薄暗い回廊。冷たい床。誰かの背中。
高い背丈。冷えた声。指先に絡む金の光。
「……見ないで」
万理の声。震えているのに必死に笑おうとする顔。
「大丈夫。玻璃は何も心配しなくていいから」
乾いた金属の嫌な音。
白くて細い首には見知らぬ金細工の首輪飾り。
今まで保たれていた何かが壊れた気がした。
(……嫌だ)
ハリは強く目を閉じる。
(こんな記憶、僕は——)



