「アスセナス公のもとへ向かう旅に、自分が正式な〝使者補佐〟として同行し、必要な交渉資料や証拠の管理を一手に引き受けましょう」
そして、視線をハリへ向ける。
「同時に、ハリ殿には──もしご負担でなければ、首輪飾りの来歴について、思い出せる限りの情報をお聞かせいただきたく存じます。身分の確定は、行く先々で交渉の材料となりますので」
最後はラインアーサへの静かな忠誠の眼差しを向け、少し小声で話す。
「アーサ。お前とスズランちゃんの未来を守るためなら、俺はどこへでも同行するぜ。どうか、この俺に協力させてくれ」
「ジュリ、お前……」
「ジュリ君、本当に良いのかい? そうなると本来君が希望している職から遠退いてしまうのでは?」
「お心遣いありがとうございます。ですが陛下、自分はアーサ殿下へ忠義を尽くすべく考えです」
ラインアーサへの忠誠心は空よりも広く、海よりも深い。それはジュリアンが幼い頃からずっと変わらない。
「相分かった。君の英断に心から感謝するよジュリ君。これからもアーサを支えてやって欲しい」
「仰せのままに」
「──ではハリ君。君の考えを聞いてもいいかい?」
ライオネルの問に、ハリはゆっくりまぶたを伏せ、呼吸を整える。新月を含んだかの様な濁りない漆黒の瞳。だが奥底は氷の如く冷たい。
「……恐れながら。私には、シュサイラスアに来る前の記憶がほとんどありません。いえ……〝曖昧〟という方が正しいのでしょうね」
そして、視線をハリへ向ける。
「同時に、ハリ殿には──もしご負担でなければ、首輪飾りの来歴について、思い出せる限りの情報をお聞かせいただきたく存じます。身分の確定は、行く先々で交渉の材料となりますので」
最後はラインアーサへの静かな忠誠の眼差しを向け、少し小声で話す。
「アーサ。お前とスズランちゃんの未来を守るためなら、俺はどこへでも同行するぜ。どうか、この俺に協力させてくれ」
「ジュリ、お前……」
「ジュリ君、本当に良いのかい? そうなると本来君が希望している職から遠退いてしまうのでは?」
「お心遣いありがとうございます。ですが陛下、自分はアーサ殿下へ忠義を尽くすべく考えです」
ラインアーサへの忠誠心は空よりも広く、海よりも深い。それはジュリアンが幼い頃からずっと変わらない。
「相分かった。君の英断に心から感謝するよジュリ君。これからもアーサを支えてやって欲しい」
「仰せのままに」
「──ではハリ君。君の考えを聞いてもいいかい?」
ライオネルの問に、ハリはゆっくりまぶたを伏せ、呼吸を整える。新月を含んだかの様な濁りない漆黒の瞳。だが奥底は氷の如く冷たい。
「……恐れながら。私には、シュサイラスアに来る前の記憶がほとんどありません。いえ……〝曖昧〟という方が正しいのでしょうね」



