ライオネルは視線を誰にも向けず、敢えて宙を見上げる。
「だからこそ、気にかかっている。やはり何か返せない事情があるのではないか──と」
「……パパ」
小さなスズランの声に、繋いでいた手を強く握り返すラインアーサ。
「返書がない以上──アーサとスズラン嬢が正式に新たな婚約を結ぶことは出来ない。これは感情の問題ではなく、国と国との約定だからだ」
ライオネルは一度、視線をラインアーサへ向け僅かに柔らげる。
「となれば取るべき道はひとつ。小フリュイ公国へ赴き、アスセナス公本人と直に言葉を交わす。それ以外に、筋を立てる方法はない」
ラインアーサの表情に決意の重みが増す。
「──もうひとつ、だ」
ライオネルは今度こそハリを見やる。
「未だ確信には至っていない。だが、ハリ君。君がルゥアンダ帝国の皇子である可能性が極めて高い」
この発言により、視線が一斉にハリに集中した。
場が静まり返る中、彼は理由を示す。
「証となるのは、ハリ君とスズラン嬢……二人の首に嵌められていた、金細工の首輪飾り──。あれはルゥアンダ帝国において、皇家が取り認めた婚約を示す儀礼具。単なる装飾ではない」
この件に詳しいジュストベルが大きく頷く中、ライオネルはゆっくりと言い聞かせる様に話す。ほんの一瞬、スズランへ視線を向けた。
「だからこそ、気にかかっている。やはり何か返せない事情があるのではないか──と」
「……パパ」
小さなスズランの声に、繋いでいた手を強く握り返すラインアーサ。
「返書がない以上──アーサとスズラン嬢が正式に新たな婚約を結ぶことは出来ない。これは感情の問題ではなく、国と国との約定だからだ」
ライオネルは一度、視線をラインアーサへ向け僅かに柔らげる。
「となれば取るべき道はひとつ。小フリュイ公国へ赴き、アスセナス公本人と直に言葉を交わす。それ以外に、筋を立てる方法はない」
ラインアーサの表情に決意の重みが増す。
「──もうひとつ、だ」
ライオネルは今度こそハリを見やる。
「未だ確信には至っていない。だが、ハリ君。君がルゥアンダ帝国の皇子である可能性が極めて高い」
この発言により、視線が一斉にハリに集中した。
場が静まり返る中、彼は理由を示す。
「証となるのは、ハリ君とスズラン嬢……二人の首に嵌められていた、金細工の首輪飾り──。あれはルゥアンダ帝国において、皇家が取り認めた婚約を示す儀礼具。単なる装飾ではない」
この件に詳しいジュストベルが大きく頷く中、ライオネルはゆっくりと言い聞かせる様に話す。ほんの一瞬、スズランへ視線を向けた。



