君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

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結局、気づけば俺たちは三人で街を歩くことになっていた。

(なんで、こんなよくわからない男なんかと……)



「いや〜、サボりじゃないよ? ちゃんと休憩だからね?」

「そんなこと、聞いてない」

「冷たっ」


ケラケラ笑いながら、男は当然みたいな顔で由良の隣を歩いている。

……その距離感が、最初からずっと気に入らなかった。


肩が触れそうなほど近いくせに、由良もそれを不快そうにはしない。

むしろ少し呆れたように言い返しているあたり、昔からこういうやり取りをしてきたんだろう。



……なんなんだよ、その空気。


俺の知らないところで積み重ねてきた時間が、会話の端々から滲み出ている。

それが妙に胸に引っかかった。





休日の街は、人通りが多かった。

楽しそうに笑い合うカップルや学生たちの間を縫うように歩きながら、男はふと通り沿いのクレープ屋を見上げた。



「あ、まだあるんだここ」


その言葉に、由良が小さく足を止める。

懐かしいものを見るように店を見つめてから、ほんの少しだけ目を細めた。


「あ〜……懐かしい」



その声音は柔らかいというより、少しだけ遠かった。

店先を見つめる目が、今この街ではなく、もっと遠い場所を見ているみたいで。



さっきまで泣きそうだったくせに。
今の由良は、肩の力が抜けているのに、どこか掴めない。

ただ昔を思い出しているというより、もう戻れないものを見ているような顔だった。



「俺の記憶が正しければ、たしかかわいい子ちゃんがこの店にカチコミ売ってなかった?」

「………違うよ。トッピングがちょっと注文と違っただけ」

「いや、あれはガチだったと思うけど」

「だから違うって」


由良が真顔で返すと、男が吹き出した。


「うわ、言い方そのまんま」

「なにが」

「そういうとこ、由宇くんそっくり」


その名前が出た瞬間、由良の表情がほんの少しだけ止まる。



けれど男は、それ以上そこには触れなかった。

代わりに、どこか懐かしそうに空を見上げる。