〈由衣SIDE〉


紘といっしょに理事長室を出る。


後ろからは凪と朔と由良もついてきた。


月華のみんな、だいじょうぶかな…


理事長室を出た時のみんなの悲しそうな顔が頭をちらつく。


私はあの人たちならだいじょうぶだって思ったんだけどなぁ…


紘は気に入らなかったみたい。


まあ、私は紘とか桜蘭のみんなが一番だからみんなが月華を気に入らないなら私も月華とは仲良くしない。


ちょっと罪悪感があるけどしょうがないよね…



着いたのは人気のない空き教室。


とたん、


「んっ」


紘にくちびるをふさがれた。


それも、深く…


『あいつらと仲良くしないで』


「…」


やっぱりそうなるよね…


紘たちには月華のみんなと仲良くしてほしかったんだけどなぁ…


まあしょうがない。


「うん」


『僕たちもあいつらは気に入らないな~』


『俺も』


『あいつらはまだ、未熟だ。だから俺たちの事に巻き込まないためにも関わらないほうがいい…』


「…そうだね」


また、くちびるが重なる。


まだ、みんながいるのに…


『じゃあそろそろ僕たちは退散するね~』


『そうだな』


『目の前でこんなにいちゃいちゃされると、ね…』


「っ///」


みんなが教室から出て行ったとたん、


するりと制服のなかに紘の手が入ってきた。