君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

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「れ、蓮さん…………」

「ん?」

「ん?じゃ、ありませんよ………なんですか、この距離感は…………」


二人掛けのソファなのに、なぜか蓮さんが私が座っている方へ寄ってきて、ピッタリとくっつくという異様な光景。


近い。普通に近い。
……いや、近すぎる。

正直、かなりやめてほしい。


……ほら、向こうで陽人たちが「あいつら、いつの間にあんなことに……?」みたいな、なんとも言えない生暖かい目でこっちを見てるし。


視線が痛いというか………もう空気がいたたまれない。




「なんでって………この前言っただろ?”お前のことは俺が守る”って」


耳元で落とされる声は、やけに近い。
低くて、落ち着いていて、なのに妙に熱がある。



「……だから、お前の近くにいねぇといざという時に意味ねぇだろ?」


内緒話をするような距離で、コソコソと耳元で囁く蓮さん。低い声が鼓膜を震わせ、吐息が首筋をかすめる。


心臓がうるさすぎて、さっきから話の内容が半分も頭に入ってこない。



「いや、だからって…………」

「細けぇことは気にすんなって。………それより由良、お前………」


ふざけるような笑みから一転、急に真剣な顔つきになった蓮さん。


その鋭い眼光に、私は思わず身を固くした。

……まさか、私の正体に気づいた?
それとも、昨日のことを────









「お前………友達なんていたんだな」


一瞬の沈黙。


そして、次の瞬間投げかけられた予想外すぎる言葉に、ブッ、と口に含んでいたオレンジジュースを思いっきり吹き出した。

運悪く、目の前のテーブルがオレンジ色の水浸しになる。


「ゲホッ、ンン、………は?」


イヤ、は…………????


え、なんですか。
蓮さんは私にひとりも知り合いがいない、天涯孤独の寂しい奴だとでも思ってたんですか……??

昨夜の翔とのやり取りを見ていたから出た言葉なんだろうけど、それにしても失礼すぎる。



「悪口ですか………?」

「あー、いや、ただ純粋に驚いたっつーか。お前、いつも俺の後ろをトコトコ付いてくるイメージしかねぇからよ。……まさか、あんなスカしたガキと知り合いだとは思わねぇだろ普通」


そう言って、蓮さんは少しだけ不機嫌そうに鼻を鳴らした。


……この人、もしかして。

”守る”とか”警戒する”とか言いながら、ただ単に、私の知らない人間が私の隣にいたことが気に入らないだけなんじゃ……。



そう気づいた瞬間、さっきまでの緊張が嘘のように引いていき、代わりに顔が熱くなるのを感じた。