君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

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「………あ、おかえり~」


扉を開けると、大晴がひらひらと手を振って迎えてくれた。

奥では李兎がこちらを一瞥し、そしてソファに座ったレンさんの視線が、鋭く私たちを射抜く。



「………遅かったな。お前ら何話してたんだ?」


低く、地這うような声。
チラッと、まだ少し名残惜しそうに繋がれたままの私たちの手を見て、レンさんの眉間に深い皺が寄った。



「えっと………」

「それは、僕たちだけの秘密です。………ね、”桃華さん”」


私がわざと名前で呼び、彼女に視線を送ると、部屋の空気が一瞬で凍りついた。


「「「「も、桃華さん……!?」」」」


大晴は口をあんぐりと開け、李兎の手元ではペンが止まる。

どこからか戻っていた陽人や裕太までもが、信じられないものを見る目で私を凝視した。


「………そっ、そうなの。……みんなには、内緒だよっ……」


桃華さんは顔を真っ赤にしながらも、私に合わせるようにそう言った。
彼女の中では”秘密”の意味がすり替わっているけれど、外から見ればそれは決定的な親密さの証明だ。









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『桃華さん、もしよければ僕、桃華さんのお手伝いをしましょうか……?』


二人きりの帰り道。
私は一歩踏み出し、戸惑う彼女の視線を捉えた。


『お手伝い……?』

『桃華さんと蓮さんを両思いにさせる、秘密のお手伝いです。』

『えっ……そんなこと、やってくれるの……?』


彼女の瞳が大きく揺れる。


『はい。僕のことを黙っていてもらう代わりに、何かお礼をできれば、と。』

『え、でも由良くんは………』

『男は、女性が困っていたら手助けをすることがマナーです。』


私はあえて年相応の少年のように、茶目っ気のある笑みを浮かべてみせた。

警戒心を解き、私を”頼れる味方”だと認識させるために。