君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




鼓動の音だけがうるさく耳元で鳴り響く。


永遠のようにも感じられる静寂の中、俺は死の訪れが遅れていることに違和感を覚えた。






「……………?」


恐る恐る、固く閉じていた目を開けると─────そこには、信じられない光景が広がっていた。






「由、良……?」


俺をかばう桃華のさらに前に、アイツがいた。

地味でオドオドしていて、喧嘩とは無縁そうなあの”由良”が……俺たち二人を守るように毅然と両手を広げて立っていた。





「…………」



驚くべきことに、あれほど冷酷だった男が。
だらんと、拳銃を持っていた腕を下ろした。


男の瞳に宿っていた暗い光が、目の前の”由良”を視界にとらえた瞬間、激しい動揺へと塗り替えられていく。



男の視線。

それはまるで、長年探し続けていた何かを、あり得ない場所で見つけてしまったかのような───戦慄した眼差しだった。






「◾️◾️て◾️◾️◾️ね」


男の顔を正面から見据え、ポツリと、何かを囁くようにつぶやいた由良。

─────そして、



「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️」



男の唇が、音もなく動く。
何かを、切実に問いかけるようなその動き。