「あの、えっと………もしかして僕、すごく疑われてます……?」
私は情けなく眉を八の字に下げ、怯えたように肩をすくめた。
「そうよ。結局蓮くんたちに急に近づいてくる人間なんて、ロクな奴がいないんだからっ……!!」
────彼女の瞳に宿る敵意。
それは攻撃的なものではなく、傷つくことを恐れ、自分の大切な居場所を必死に守ろうとする哀れな拒絶の裏返しだった。
「あのー………」
「………なに?」
「僕、蓮さんがその……暴走族の総長さんをやってるの、本当に今、ついさっき知ったばかりなんです。だから、昨日最初にここで会った時は、怖そうなお兄さんだなとしか思っていなくて……。本当に、何も知らなくて……っ」
困り果てた情けない少年のように、視線をきょろきょろと泳がせる。
───どこまでも”裏の世界の事情なんて何ひとつ知らない、ただの一般の男の子”としての戸惑いを、全身の筋肉を使って体現してみせた。
「………本当に、そうなの?」
「はい……。だから、その、やましいこととかは本当に何も……」
「ほんと? 本当に、何も知らなかったのね?」
「は、はい………っ、うっ、疑うなら後で蓮さんに……」
嘘を見抜こうとするかのように、じっと桃色の瞳に顔を覗き込まれること、数秒。



