「大変っ!! 下で、みんなが、他のチームに襲われてっ……!!」
鉄扉を勢いよく蹴り開けて現れたのは、息を荒く乱した一人の少女。
地毛にしては珍しい、あの明るい栗色の髪をツインテールに結った少女──。
(……ビンゴ。この子が、今回の私の護衛対象か。)
胸の中で静かに呟きながら、私はその姿を網膜に焼き付ける。
「襲われた!?……クソッ、どこの族だ」
彼の顔から完全に余裕が消え、一瞬で全国No.1を統べる総長の凶暴な顔へと変わる。
「れ、蓮くん……っ、どうしよう……!」
不安げに涙を浮かべる桃華の肩を、蓮さんはガシッと強く掴んだ。
「桃華、お前はここにいろ!! いざとなれば……おい、椎名! 頼りねぇけど、そいつの背中の一歩後ろにでも隠れてろ!!」
「え、あっ、は、はいぃっ……!」
私は慌てて、情けなく声を裏返してペコペコと頭を下げた。
「……とにかく、俺はアイツらに加勢しに行く!」
彼は私を一瞥すると、弾かれたように階段へと駆け出していった。
「蓮くん、気をつけて……!!」
彼の背中を追う必死な声が、広い屋上に虚しく響き渡る。
ドタバタと慌ただしい足音を残して去っていく彼の背中を、彼女は胸元でぎゅっと両手を握りしめながら、ただ心配そうに見つめ続けていた────……



