君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




「おい由良! お前、何か知ってんだろ! 由衣はどこに──」


とっさに掴みかかろうとした俺を、由良の低い声が遮る。




「……生きてる奴を探せ」

「……は?」



何を言っているのか、一瞬理解できなかった。




「…………一人でもいい。早く、まだ息がある奴を探して」


由良は淡々と、機械のように冷たいトーンで言葉を重ねる。




その言葉の奇妙な引っかかりに、俺の背筋を冷たい何かが這い上がった。



────生きてる奴を探せ?

ここに転がっている連中は、ただ気絶しているだけだろ?



「おい……何言ってんだよ。こいつら、ただノされてるだけだろ……?」



俺は震える手で、足元に倒れている男の肩を掴み、強引に仰向けにひっくり返した。




────いつも通りの、暴走族同士の喧嘩の延長線だ。


そう自分に言い聞かせながら、男の胸元に目を落とす。




────動いていない。


胸が、上下にピクリとも動いていなかった。





(────は?)



血の気が一気に引いていく。


慌てて男の手首を掴み、脈を探した。



────何も触れない。


肌からは、生きている人間が持つはずの熱が、すでに完全に失われていた。




「嘘、だろ……」


────息が、止まった。




気絶なんて軽いもんじゃない。



こいつは、もう──。