君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~


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由良のあとを追い、俺たちは目的の倉庫へとたどり着いた。


重い鉄扉の前に立つ。

中に潜んでいるであろう大勢の敵を迎え撃つため、全身の筋肉を極限まで緊張させた。



覚悟を決め、勢いよく扉を押し開ける。



「おい、由衣を返せ──!」


怒号とともに踏み込んだその瞬間、俺の言葉は喉の奥で凍りついた。







「……は?」


───静かだった。

怒号も、足音も、こちらの気配を警戒する声すらもない。


ただ、鼻を突く鉄錆のような匂いだけが、生温い空気の中に漂っている。






「っ、なんだよ、これ……」


後ろから聞こえてきた息を呑む音につられて、床へと視線を向ける。





すると───。

そこにあったのは、異様な光景だった。



襲いかかってくるはずだった大勢の敵が、一人残らず床に転がっている。



誰も、ピクリとも動かない。

うめき声一つ、聞こえなかった。



(……どいつもこいつも、派手に気絶させられてやがる)



それはまるで、目に見えない巨大な嵐に、一瞬で叩き潰されたかのようだった。


尋常じゃない強さの何者かが、ここに殴り込みをかけたに違いない。


強烈な一撃を食らって、全員が意識を失っている──俺はそう思った。