「………確かに俺は、全国No.1暴走族である”月華”の総長だ」
「…………えっ!! 暴走族なんて、本当に現実に存在していたんですか!?」
「まあ、な。……てか、暴走族なんてそこらへんにうじゃうじゃいるぞ」
一度言葉を区切って、ゆっくりと息を吐き出した蓮さん。
どこか遠くを見るような目をしながら、私に教えるように言葉を続ける。
「……お前みたいに普通の生活をしてた奴は、気づかなかっただけでな。昼間にぎわってるこの街とかも、夜になるとまったく別の顔に豹変するんだよ」
────”普通”の、生活。
彼の口から出たその言葉が、私の胸の奥に冷たい棘となって突き刺さる。
毎日毎日、硝煙と血の匂いを嗅いで生きてきた私の人生が、普通?
常に”死”と背中合わせで、大切な仲間と次の日笑顔で顔を合わせられる保証すらない世界で泥を這うように生きてきた、この私が──?
私のことなんて、何ひとつ知らないくせに。
大切な仲間を目の前で理不尽に失う、あの引き裂かれるような絶望のつらさなんて、知らないくせに。
……………あなたは、どうしてそんなに平然と笑っていられるの?



