─── ♠ ───
「李兎、今の住所ナビに入れろ! 急ぐぞ!」
湊の店を飛び出し、店の外へ出た瞬間だった。
夜の冷たい空気が肌を刺す中、前を走っていた由良が、ピタッと足を止めた。
「……おい由良、何してんだよ! 早く行かねぇと由衣が───」
「お前らは、来ない方がいい」
振り返った由良の瞳が、街灯の光を反射して怪しく光る。
───その目はまるで、研ぎ澄まされた剥き出しの刃物のようだった。
……いつもとは違う、冷たく濁った視線が俺を射抜く。
「……は? 何言ってんだよ。ここまで来て、俺が行かないわけねぇだろ。なんでだよ!!」
俺は一歩、由良に向かって足を踏み出した。
カツン、と夜の硬いアスファルトに靴底が響く。
激昂して肩を揺らす俺を、由良はただ、氷のような冷徹さで見下ろしていた。
───その表情からは、何の感情も読み取ることができない。
「……お前らが行っても、意味がない」
「意味がない……? 何言ってんだよ!」
意味の分からない言葉に、俺の頭は一瞬で沸点に達する。
「むしろ──────」
そこで、由良の言葉が不自然に途切れた。
低く冷たい声が、夜の静寂に吸い込まれていく───……
由良はそれ以上、何も語らなかった。
……ただ、固く唇を噛み締め、何かを耐えるように視線を逸らすだけだった。
「李兎、今の住所ナビに入れろ! 急ぐぞ!」
湊の店を飛び出し、店の外へ出た瞬間だった。
夜の冷たい空気が肌を刺す中、前を走っていた由良が、ピタッと足を止めた。
「……おい由良、何してんだよ! 早く行かねぇと由衣が───」
「お前らは、来ない方がいい」
振り返った由良の瞳が、街灯の光を反射して怪しく光る。
───その目はまるで、研ぎ澄まされた剥き出しの刃物のようだった。
……いつもとは違う、冷たく濁った視線が俺を射抜く。
「……は? 何言ってんだよ。ここまで来て、俺が行かないわけねぇだろ。なんでだよ!!」
俺は一歩、由良に向かって足を踏み出した。
カツン、と夜の硬いアスファルトに靴底が響く。
激昂して肩を揺らす俺を、由良はただ、氷のような冷徹さで見下ろしていた。
───その表情からは、何の感情も読み取ることができない。
「……お前らが行っても、意味がない」
「意味がない……? 何言ってんだよ!」
意味の分からない言葉に、俺の頭は一瞬で沸点に達する。
「むしろ──────」
そこで、由良の言葉が不自然に途切れた。
低く冷たい声が、夜の静寂に吸い込まれていく───……
由良はそれ以上、何も語らなかった。
……ただ、固く唇を噛み締め、何かを耐えるように視線を逸らすだけだった。



