(────だが、こんなところでクヨクヨしているわけにはいかねぇ)
───湊が提示した画面を網膜に焼き付け、俺はすぐに背を向けた。
「お前ら、行くぞ!!」
「お、おうっ」
先頭にいた陽人が慌てて部屋を出ていこうとした、その時だった。
「────あ、そうだ。最後にひとつ、勇敢な君達へおまけの情報〜」
背後から、湊のいつものゆるい声が響く。
……振り返ると、湊はまたヘラヘラとした掴みどころのない笑みを浮かべて、スマホの画面を指で弄っていた。
「この情報さぁ……俺よりも前に辿り着いた奴がいるみたいなんだよね。痕跡は綺麗に消されてるし、きっと只者じゃないだろうね〜」
「……は? 先行者がいるってことか? 九条の仲間じゃなくてか?」
俺の問いかけに、湊は
「さぁね〜?」
と肩をすくめるだけで、それ以上は何も語ろうとしない。
……何のことだかさっぱり分からず、俺は眉をひそめた。
────だが、俺たちの横を通り過ぎようとした由良だけが、ピタリと足を止めた。
由良は湊をじっと見つめ、彼もまた、瞳の奥に冷徹な光を宿して由良を見返している。
二人の間で、言葉のない視線が交わされた。
(……由良? お前、何に気づいたんだ……?)
疑問を抱く俺を置いて、由良はフッと口元を歪めると、そのまま何も言わずに部屋を飛び出していった。



