叫ぶような俺の問いかけに対して、スピーカーの向こうの由良は、フッと低く冷たい笑い声を漏らした。
《……当たり前じゃん》
由良の声は、酷く掠れていた。
……怒りのキャパシティを超えて、息が荒くなっているのがスマホ越しでも分かる。
《今そんなこと出来るクソ野郎は……この世に一人しか存在しない》
────吐き捨てるような言葉。
《あいつを……由衣をこんな目に遭わせて平気でいられるクズなんて、あの男以外にいるわけない……ッ! お前らがチンタラ守り損ねてるから、あいつは……っ!》
途中で言葉を詰まらせた由良が、チッと激しく舌打ちをする。
その瞬間、俺の頭の中に、由良の言う「一人」の心当たりが最悪な形で浮かんできた───。
「……九条か」
地を這うような、怒りを極限まで滲ませた声が俺の喉から漏れる。
───すべてが繋がった。
由衣を狙い、全国五位の蓮のハッキングすら遮断できるプロテクトを用意できる男なんて、あいつしかいない。
「…………由良、九条の居場所はどこだ。由衣はどこにいる!」
一刻も早く突っ込むために身を乗り出した俺に、受話器の向こうから返ってきたのは、ひどくあっさりとした言葉だった。



