君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




「……おい、由良? 何の音だそれ」


《…………由衣に手ぇ出したクソどもの一味に、制裁を加えてる》



地を這うような、低く、押し殺した声。


───そのあとに続いたのは、何かが鈍く壊れる音と、男の消え入りそうな命乞いだった。





《────俺の逆鱗に触れておいて、軽い口先だけの謝罪で許されるとでも思ったのか?……ほんと、救いようのないクズどもだな》



受話器の向こうから返ってきたのは、ゾッとするほど低く、冷え切った声。


────スマホの画面越しに、ドス黒い殺気が伝わってくる。




《……なぁ、おい。こんなところで死にたくないんだろ?ならさっさと頭、地面に擦り付けて謝罪しろよ。そうしたら、命だけは助けてやる》


受話器の向こうで冷酷に言い放つ由良の声。

……だが、俺の脳は別の言葉を捉えて離さなかった。





「……おい、待て。由良、お前今『由衣に手ぇ出した』って言ったか?」



───ドクン、と心臓が激しく脈打つ。



李兎が、パソコンの画面からガタッと身を乗り出して俺のスマホを凝視する。

……俺たちでさえ、写真一枚から何も掴めずに足止めを食らっているっていうのに。





「もしかして……お前は、もう犯人が誰かわかってんのか!?」



電話を握る手に、じわりと汗がにじむ。


……由良の答え次第で、この絶望的な状況が一気にひっくり返るかもしれない。