君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




仲間が撃ち抜かれた銃声、飛び散った鮮血、引き裂かれた絆。


克服したはずのトラウマが、感傷で弱り切った心の隙間に容赦なく滑り込み、私の四肢を冷たく縛りつける。



───一瞬。

ほんの、一瞬だけ。

恐怖で全身の細胞が凍りつき、動けなくなってしまった。



抗う間もなく、容赦ない力で背後から口元を塞がれる。


鼻腔を突く、薬品のツンとした匂い。




「ゆ、ら……っ」



かすれた声でその名を呼ぶけれど、視界は急激に暗転していく。


その時、すぐ近くにあった男の襟元が、月光に照らされて微かに光った───気がした。



(……あ、れ……?)




白シャツの襟に留められていたのは、見覚えのある鷹を象った漆黒のラペルピン。



───忘れるはずがない。


それは、九条の組織…… Goshawkの人間が身につけているのもの。




「─────!!」



絶望と確信が脳裏をよぎった瞬間、視界は急激に暗転していく。



遠ざかる意識の向こうで、私は"また"、あの暗闇の中へと引きずり落とされていった───……