───これ以上の犠牲は出せない。
そう、判断したのだろう。
『───もうやめろ。……これ以上、大切な仲間を傷つけるな』
───と叫びながら、今度は由良が私の前に立ちはだかった。
……両手を広げ、私の身体を背後に隠すように庇う。
『俺が、お前に捕まる。……それでいいだろ。────だからもう、これ以上は……』
由良は自分の身を人質として差し出すことで、これ以上の攻撃をやめるよう九条に必死の交渉を持ちかけたのだ。
その命がけの取引が成立し、私たちを見逃す代わりに──由良は九条の手によって、暗闇の向こうへと連れ去られてしまった。
一人は私を庇って銃で撃たれ、重傷を負った。
一人は、私を救うために自らの身を敵に差し出し、囚われの身となった。
すべては私の存在が原因であり、私のせいで、大切な仲間たちが容赦なく傷つけられていった───。
────当時の私にとって、その現実はもう、受け止めきれる限界を超えていた。
衝撃の大きさに脳のキャパシティを超えたのか、それ以降の記憶はほとんど残っていない。
自分がどうやってその場から救出され、どうやって日常へ戻ったのかすら、今でも思い出せないままだ。
ただ一つ分かっているのは……事件の後、私は自分の存在そのものが忌わしく、許せなくなったということ。
これ以上彼らを巻き込むわけにはいかない。
そう決意した私は、残された朔夜や凪たちの元からも、静かに姿を消した。



