『ふふっ、大丈夫だよ。私も強くなったから』
『本当に?いや、別に由衣の強さを疑っているわけじゃないけど、"また"前みたいなことになったら……』
───"また"
脳裏に蘇る由良の必死な声を振り払うように、私は小さく息を吐いた。
由良は、私にだけ物凄く過保護だ。
普段は他人には物凄く冷たくて関心がないけれど、私を傷つけるものには容赦しない。
……そんな彼の過保護さは今に始まったことではなくて、ずっと前からのことだけど。
けれど、あの一言に込められた怯えの理由は、続きを書かなくても私には分かった。
───思い出すのは、一年前のあの悪夢のような誘拐事件。
あの時、必死になって私を捜し出してくれた由良の、今にも崩れそうな表情を今でも鮮明に覚えている。
天才で、冷徹で、何でも器用にこなす由良が、この世で一番恐れるのは──。
あの時のように、私を守れず、その手をすり抜けていってしまうことだから───……



