君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




「おい……おい、由衣……っ!!」



……声が震えた。



画面を指で叩くように何度もタップする。

……だけど、ただの写真が動くわけがない。



文字の一つも添えられていない。

送信元のアドレスも、偽装されているのかエラーになって繋がらない。




「どこだよ、ここ……っ。どこにいるんだよ由衣……!」



写真の背景はただの暗い壁で、どこの廃墟なのか、どこの倉庫なのか、見当すらつかない。



メッセージすら残さないのは、俺をただ絶望させるため、彼女の居場所を隠すためだ。




いつもなら、すぐにバイクのエンジンをかけて敵の陣地に殴り込みに行ける。


……なのに、今夜は行く先すら分からない。




「クソが……っ!!」


大切な女が今、どこの誰に、どんな目に遭わされているのかも分からない。



強がることしかできない俺が、ただ一枚の写真の前で、息もできないほどの恐怖と、己の無力さに、拳を血が滲むほど固く握りしめることしかできなかった────……