君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~




(気まずいけど……早くアイツに会いたい)

早く明日になんねぇかな、なんて柄にもないことを考えていた、その時だった。




ポケットの中で、スマホが短く震えた。


煙草をくわえたまま、何気なく画面を開く。



画面に表示されたのは、非通知設定のアドレスからのメール。


件名も本文も空白。

ただ、一枚の画像だけが添付されていた。



「……嫌がらせかよ」




吐き出した煙の向こうで、読み込みマークが消え、写真が全画面に表示される。





────その瞬間、心臓がドクン、と嫌な音を立てて跳ね上がった。



サアッと、指先から血の気が一気に引いていくのがわかる。


くわえていた煙草が唇からこぼれ落ち、アスファルトの上で赤い火花を散らした。





「は!?……うそ、だろ……?」



スマホの画面を睨みつける俺の視界が、恐怖で細くなる。




────間違えるわけがない。


そこに写っているのは、由衣だ。

コンクリートが剥き出しになった、薄暗いどこかの部屋。




────冷たい床の上に、彼女は力なく横たわっていた。


華奢な両手首は荒い縄できつく縛られ、白い頬には掠り傷から血が滲んでいて。



意識がないのか、ぐったりと目を閉じている。