君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

♠︎ Ren



いつもなら、この時間はこれからの計画を立てるために月華の溜まり場にいた。


……だけど、今夜はなぜかそんな気分になれなくて、俺は一人でバイクを走らせて誰もいない海沿いの防波堤にいた。



止めたバイクのシートに腰掛け、冷たい夜風に吹かれながら煙草に火をつける。








頭に浮かぶのは、昨日俺にピアスを付けてくれた時の由衣の顔。

(……今までで一番綺麗だった。)



『れ、蓮さんの誕生日がもうすぐだって大晴たちに聞いて……こっ、これ……』



少し赤くなった顔を伏せながら、震える手で俺の耳にそっと触れてきた由衣。


左の耳たぶに今も揺れるそれを、俺はそっと指先で触った。



(……俺へのプレゼントのために、由良まで連れて選んでくれたのか)


アイツらに俺の誕生日を聞き出して、貴重な休日を使ってまで一生懸命選んでくれたんだと思ったら、愛おしさが限界を超えた。





昨日、俺はたまらなくなって由衣の細い肩を抱き寄せ、その唇に強引に自分の唇を重ねた。


────これで、二回目。

驚きに見開いて丸くなった目も、ほんのり赤く染まった頬も、俺を受け入れてくれた柔らかい唇の感触も。


一度目よりもずっと、愛おしくて堪らなくて、思い出すだけで心臓の奥がじわじわと熱くなる。