「これ……っ」
「あ……やっぱり、覚えていたんですね」
由衣が、少し照れくさそうに自分の胸元にそっと手を添える。
────そこに光っていたのは、いつか俺が由衣の誕生日に贈ったネックレス。
そして由衣が今、俺にくれたのは、それとまったく同じデザインのピアスだった。
────あの時、俺が最初に提案したが断られたピアス。
……あいつへのプレゼントじゃなかった。
二人の聖域なんかじゃなかった。
まだ告白の返事をもらえたわけではない。
だけど、お揃いのカタチを俺のために選んでくれた。
……その事実だけで、俺の心臓は激しく跳ね上がっていた。
「……ま、そういうわけだから。妹ちゃん───由衣は、ただお兄ちゃんと君へのプレゼントを選んでいただけで浮気してたわけじゃないよ」
俺が一人で大混乱に陥っていると、横から楽しそうなため息が聞こえた。
「これ以上ここで俺たちの大切なお姫さまが口説かれるのを見てるのは気まずいから、俺たちはさっさと退散します〜がんばれよ、嫉妬深い総長サマ」
湊ニヤニヤしながら俺の肩をぽんと叩き、由良を連れて店の奥へと引っ込んでいく。
───残されたのは、店内の生暖かい視線と、顔がはち切れそうなほど真っ赤になって固まる俺。
……そして、気まずそうに上目遣いで俺の顔を覗き込んでくる、愛しくてたまらない由衣だけだった。



