「は……? 何がだよ」
睨みつける俺を、由良は心底おかしそうに、冷ややかな目で見下ろした。
「あんたの瞳に俺がどう映ってるか知らないけど……俺の本名は椎名由良。──由衣の、双子の兄貴だよ」
「……。……え?」
「色々と事情があって名字は伏せてたけどさ。顔見りゃ一発で分かりそうなもんだけど……。そっか、本気で俺のこと恋敵だと思ってヤキモチ焼いてたんだ。……ウケるね総長サマ」
時が、完全に止まった。
────『双子』『お兄ちゃん』
脳内でその言葉が何度もリフレインする。
……言われてみれば、くりっとした大きな瞳も、整った鼻筋も、驚いたときの表情も、驚くほど由衣にそっくりだ。
「な、なんで……」
あまりの衝撃に、掴んでいた由衣の手首から自然と力が抜ける。
頭が真っ白になって固まる俺の前で、由衣が少し恥ずかしそうに頬を染めながら手元にあった小さなラッピング袋を差し出してきた。
「れ、蓮さんの誕生日がもうすぐだって大晴たちに聞いて……こっ、これ……」
「っ、────」
受け取った袋の隙間から見えた、シルバーの輝き。
その中心に刻まれた三日月を目にした瞬間、俺は息を呑んだ。



