「あの日もそうだ。作戦だか俺たちへの警告なんだか知らねぇが、最初から二人の世界作って、俺の入る隙間なんて一ミリもねぇみたいにさ。……数日前、俺に諦めんなとか綺麗事ぬかしたのも、全部俺を裏であざ笑うための罠だったんだろ?」
由衣も……俺がやっとの思いで気持ちを伝えたと言うのに、少しもこっちを意識しない。
(それどころか、他の男に……)
一気にまくしたてる俺の言葉に、由衣も由良も、なぜか一瞬キョトンとした顔で固まった。
「俺がどれだけ……お前に執着して、狂いそうになってるかも知らねぇで……! あいつにそんな顔で笑いかけるなら、最初から俺に期待させるようなことすんじゃねぇよ!」
店内に、俺の激しい呼吸の音だけが響く。
ここまで本音をぶちまけたんだ。
……もう、由衣の隣にはいられない。
そう覚悟して、掴んでいた手首を離そうとした、その時だった。
「……あ」
由衣が何かを思い出したように、ぽんと小さく手を叩いた。
その横で由良が心底呆れたように、ふっと息を漏らす。
「───もしかしてだけどさぁ。ソイツ……気づいてないんじゃない?」
どこか面白おかしく、でも俺を嘲笑うような声で湊が口を開いた。



