────しかも。
さらに最悪なことに、二人から少し離れた店内の奥───目を細めて、幸せそうに笑い合っている二人を見守っている人影があった。
かつて俺と由衣のデートをぶち壊した奴。
(俺のことは認めてない風だったくせに、由良のことは認めるのかよ……)
「っ、」
(もう、限界だ──)
そんな彼───湊とふいに視線が交わった時、胸の奥で、理性を繋ぎ止めていた鎖が大きな音を立てて千切れた。
あいつの隣にいるのが、俺じゃないなら。
あんな風に笑いかけられるのが、俺の特等席じゃないなら。
──だったら、いっそ壊してしまえばいい。
「……おい」
気づいた時には、俺は店に足を踏み入れ、由良の腕をすり抜けて由衣の細い手首を掴んでいた。
「え……っ、蓮、さん……?」
驚いて振り返る由衣の瞳。
その横で由良が、店の奥で湊の目が鋭く見開かれる。
周囲の客や店員が、何事かとこちらに視線を向けるのが分かった。
……だけど、今の俺にはそんなことどうだっていい。
胸の奥で煮えくり返る嫉妬が、ドス黒い言葉になって口から溢れ出した。
「お前ら、いい加減にしろよ。……俺の目の前で、見せつけてんじゃねぇ」
「……え?」
由衣が、信じられないものを見るように、小さく口を開けた。



