君は、狂愛の檻の中 ~偽りの君に恋をした~

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あの日から、由衣とは一度も口を利いていなかった。

月華の集会でもあいつを避けて、ただ夜の街をあてもなくバイクで流すだけの日々。



……今、あいつがどこで何をしているのかもわからない。

もしかしたら───……




(……ほんと、最低だな俺。感情任せに、相手の意見も聞かず一方的にたたみかけて、由衣に悲しそうな顔させた)








頭を冷やそうと、昼間の賑わうショッピングモールを歩いていた、その時だった。



「──あ、これ、いいかも」


人混みの向こうから降ってきた、ずっと聴きたかった、だけど今一番聴きたくない愛しい声。


ハッとして視線を向けた先。




"Celestia"と書かれた、歩道沿いの小さな雑貨店のガラス越しに由衣の姿があった。

────いつしか、俺が由衣にネックレスの贈り物をした店。




……その隣には、当然のように由良がいる。


「……っ」


一瞬で心臓がドクンと嫌な音を立てて跳ね上がった。


由衣は楽しそうに笑いながら、男物のシルバーアクセサリーを手に取っている。





あいつが男物の店にいる理由なんて、一つしか思い浮かばない。


(あいつへの、プレゼントかよ……)



由衣が嬉しそうに何かを言うと、由良が愛おしそうに目を細めて、由衣の頭をぽんぽんと優しく撫でた。

由衣も照れたように、だけど嬉しそうに笑い返している。


────誰がどう見ても、幸せそうな恋人同士の距離感。


俺には見せたことのない、無防備で、特別で、絶対的な笑顔。


……あの日思い知らされた二人の『聖域』が、今、目の前で鮮やかに完成していた。